2017年1月1日
人生の転機にはいつもこの人の作品が隣りにあった。
中学、高校そしてそれから、、。ずっと読み続けてきた沢木耕太郎さんの作品に、行き詰まった今の自分を変えてくれるなにかを求めて、『春に散る』を手にした。
やさしいな、慰めか。
敗れた者、壊れる者、何かを求めて求めて満たされることのない終わりない日々を生きる者。作家はまっすぐな眼で見つめ、なぜと問い続けることで不器用な人々の生き様を描き続けてきた。
『春に散る』はそうした者たちへの願いにも似た手向けに見えた。
苦難の果ての結末がこのような分かりやすい幸せであってほしい、、。
生きることに戦い続け、その有様を強烈に示し続けた作中の昭和の人々に改めて敬意を表したいと感じた。